39 バトンはまわる

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11時になってイベントが始まった
コップさんが進行係でマイクを持つ
となりで、ワッフルさんが風船をふくらませる。かるく2回息を入れるだけで、丁度いい大きさだ
宣伝隊のスズメさんのこどもたちが、上手に風船に糸をつけてならべる
お好きな風船、おひとつどうぞー
いっぱいありまーす
風船いかがー
お金はいりません、どうぞー
集まってきたお客さんたちが、好きな色の風船を手にしている

ゆきちゃんのバトンショーが始まった。曲はSing Sing Sing
バトン教室で一緒に踊っているお友だちがたくさん見にきていて、曲が流れだすと、ゆきーって声援をおくる
ゆきちゃんは伏せていた顔をぱっとあげて、ステップをふんだ
なんて華やかな表情なんだろう。リズムに乗って、自然に体が動きだすみたいだ
ゆきちゃんは、バトンを高く投げてくるっとまわる。もっと高く投げて2回まわる
キャッチがきまるたびに拍手も歓声も大きくなっていく

ベーグルさんがいっていた通りだ、ゆきちゃんのバトンは自分でまわっている
そして、投げ上げて側転してキャッチの体勢になったのを見て、バトンはぴったりの場所にかえってくる。もう、そこしかない、って場所におりてくるんだ
腕にのったバトンは、それは自由にくるりくるりまわっている。はなれる感じなんて全然ない

楽しそうに踊るゆきちゃんとくるくるまわるバトンの動きに、見ているみんなが一緒に踊っているような気持ちになる。続くドラムの音がリズムをきざむ。それって、すごくおもしろくてすてきな感じだ。何かが大きくひらいていくみたい
ゆきちゃんにもぼくにも、たぶんおまつりに集まったみんなにいっせいに、力強く何かが流れ込んでくる